6月23日 「今は一番下だけど」

どうもです

梅雨空はどこへやら

快晴の大原でオフ明けの練習は午前10時から始まりました

いつも通りの和やかなムードで、恒例のフィジカル系メニューを中心に進行

締めのシャトランは、選手によって力の入れ具合が違ったため、順位をどうこう紹介し辛いですが、

「うおりゃぁぁぁぁぁぁ!」

と雄叫びを上げ、全力疾走で関根選手と張り合う那須選手が、兎にも角にも熱かったです

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ところで、日々大原の練習を取材していると、ある選手の変化に気付きます

若さを武器に存在感を発揮すべく、シャトランで上位を走るも、岡本選手や関根選手には適わず

ハーフコートでのゲーム形式が始まれば、当然のように隣のピッチで天野コーチの指導を受ける

居残りでパス練習をすればボールは時に、あらぬ方向へと飛んでいき、メディアが球拾いをすることもありました

シーズン序盤は腕のケガにも悩まされ・・・

「今は一番下」

そう話す斎藤選手ですが、ゲーム形式や練習試合のピッチに立てば、見る者を”ハッとさせる”何かを見せる場面が増えるようになってきました

”天野塾”で反復したことの再現のような、2タッチ目での的確なフィード、球際でのねちっこい守備がその例です

――最近の斎藤選手を見ていると、薄くか厚くか、一皮むけたような印象を受けます。と、言われても何と答えれば良いか難しいでしょうが

「まあ(笑)、でもね、一週間前に練習試合に出て、その時が久々の実戦で試合勘が全くないというか、そういう状況でやって結構きつくなってプレーも荒くなったのがあった。けど、2日前の湘南戦では時間こそ短かったけど、ボールを受けて前に良いロングパスを何回か出せたし、少しずつ試合に慣れてきたのかとも思う」

――ミスを恐れないチャレンジ精神というか、良い意味での開き直りでしょうか?

「そうですね、ミスをしなきゃ成功につながらないし、今からミスを恐れていたら何も大きくもなれないし、今後の自分につながらない。“もっとミスをして”というのは変だけど、ミスを恐れず前向きなチャレンジというか、後ろ向きでなく出来るだけ前向きなチャレンジを増やしていきたいと思う」

――いきなり話の腰を折って申し訳ないのですが、まつげが長い!

「あーそう!お母さんもそうなんすけど、逆さまつげで、遺伝なのかな!?わかんないすけど」

――関根選手も長くて、それを指摘したら本人も自覚しているようで「あざっす!」と満更でもない様子でした。負けじと、ストロングポイントとして!

「ハハハッ(笑)前に一度、試しにビューラーで立ててみたけど、クセですぐに戻っちゃう(苦笑)」

※報道陣も爆笑。後ろにいたスタッフからは「記者会見みたいだな!」とツッコミが入る

初めてのインタビューですが、新加入会見での堂々とした受け答えの印象通り、しっかりとしています

――1stステージ優勝が決まった時は、どこで観ていましたか?

「自分は家で家族と観ていた」

――ご家族の方々はどのような気持ちだったのか・・・反応はどうでした?

「なんかまあ、自分はまだ試合に出ていなくて、でも親は『翔太がこのチームの一員としてサッカーをしているのは不思議な気持ち』と言っていた。自分もテレビで観ていたから不思議な感じはあったけど、やっぱこのチームの一員としていられて幸せ。でもやっぱ、試合に出ないともっと貢献できないと思うので、セカンドステージは少しでも試合に絡めるように頑張りたい」

――「自分も試合に出て」というのがそう、話を拾いながらこちらが《次、これを聞こう》と思うことを組んだ上で話を続けてくれていて、凄いと思います

「何となく聞かれるかな!?と思って(笑)」

――入って満足ではなくて、最近他の選手の間でも話題の映画【ビリギャル】もそうですが、大学入って、トップに昇格して終わりではなく、そこからが大事ということで・・・。プロの世界はどうですか?

「ユースと全然違って、技術などのレベルの差を感じるし、早く自分もこのチームの中に追いついていけるように。今は一番下だけど、技術とかをもっと上げていって、いずれトップに立てるように。それを目指して頑張っていきたい」

――プロの世界は、学生でもユースでもその中で”一番うまい選手”が集まる場で、最初はそれまで置かれた立場とのギャップに戸惑いもあるかと思いますが?

「そうですねえ(しみじみ)トップレベルの選手ばかりなので、特にレッズは日本代表、元日本代表もいるし、ズラさんはスロベニアの現役代表でユーロの予選も闘っている。そういった選手と普段から一緒にプレーしていることは本当に光栄なこと。吸収することも多いし、参考になることばかりなので、うまく良いところは盗んで自分のものにしたい」

――今、パッと浮かぶ“吸収できたこと”は?

「活かされているというか、まあ何だろうな、陽介君のプレー。前に当てる意識というか・・・右足はあまり使わないけど、うまく左足に持ち替えてとか、前に当てるパスとか、意識の強さが凄いなというのがあって、自分は同じポジションでやっていて、ボールが来たらそのままリターンしてしまうこともあるけど、陽介君は出来るだけ前に縦パスを当てようとしているので、そういうところを自分も見習っていかないといけない」

――《ひと皮むけた》と思った理由に、練習後の“天野塾”で反復しているプレーがゲームの場でそのまま体現されていることが挙げられます。ワントラップからすぐにサイドへフィードするような展開力がそうです。良いときの柏木選手のプレーは、ボールを受ける前に次のプレーを決めているような、速い判断と動作が特徴で、斎藤選手もそういったプレーが出来ている手応えがあるのでは?イメージとの連動が体で自然と出来ていると・・・

「そうですね、まあ外を見れば、一番遠くを見れば近くにいる選手も間接視野で入るので、選択肢も増えてくると思っていた。これからも遠くを見続けることは大切にしていきたい」

――ひとつひとつ、自分の中でしっかりと解釈できているのが良いと思います。普段はロッカーでも先輩達のオーラで萎縮したりもあるでしょうが、すべきことは出来ていると・・・

「はい(笑)」

――石井俊也選手、鈴木選手、堀之内選手らがそうでしょうか。それまで所属していたチームで中心だった選手が、レッズの中での”役立つ居場所”を見つけていたのが、レギュラー獲得へとつながった印象です。斎藤選手もそれが出来る感じがします。気の持ちようですから

「はい!・・・どうだろう(笑)でもやっぱり啓太さんはずっとレッズ一筋でやってきて、自分でも言っていたけど『昔は下手だった』と。それが今、あんなにうまくなって、『前よりうまくなった』と言っていて、僕もやっぱ、今からコツコツとやっていれば長生きできるような選手になれるだろうし、今が大事だと思うので、時間を無駄にしないようにやっていきたい。自分のためにも」

――うまいけど、それっきり。という選手がプロの世界には沢山います。斎藤選手には度胸がある印象なので、プレー以外での大切な要素が備わっているはずです

「いや~(苦笑)ないっすよ、度胸!いやー結構ネガティブというか、ミスを恐れるタイプだったので、U-17ワールドカップでのことなんすけど、試合中でも《ミスしたくない!》という気持ちが強くて、完璧主義者?な一面があって、近め近めのパスになったりしてた。まあ、いきなりは無理だけど、少しずつミスを恐れずに・・・。完璧は絶対に誰も出来ないと思うので、《失敗を成功をつなげるために今はどんどん失敗をすることが大事だ》と自分に言い聞かせている」

――話を聞いていると、この半年だけでも随分と実になっているようで?

「そうですね、はい(笑)」

――日頃、元日本代表選手も試合に出られないことへの不満も漏らさずに練習に打ち込んでいるような環境ですし

「そうですね、結果が出ているのが一番だと思うし、自分は正直、練習の中での試合にも出られなくて・・・。ストレスと言っては変だけど、《試合をしたい、メンバーに入りたい》という気持ちは強まっているけど、そこに入るためには競争がある。その競争の中で自分は負けている。敗者として仕方ないので、今は技術、メンタル、体力といった土台の部分をしっかり作りたい。これから年を重ねて行くに連れて、土台のもとに・・・・なんだろう・・家に例えたら家具とか?そういうものを築けるようになれればと(笑)」

――柏木選手も広島時代、最初は練習のゲームにも入れないようなことがあったそうです。これからチームは再び黄金期を迎えなければいけません。そこでいずれ中心となるように、意識は当然?

「はい!やっぱ生え抜きとして。生え抜きとしてそういう中心選手になるのは、今のジュニアユースとかユースの夢になると思うし、自分がそこで活躍することでアカデミーの子達が夢を持って《レッズに上がりたい》と強い気持ちを持ってくれると思うから、そういう意味では責任をしっかりと持って、責任感を感じてやっていきたい」

――大卒ルーキーに話を聞いているような感覚です。このインタビューがいつかの記念になることを願います(笑)ちなみに、茂木選手は今年の目標として「セミが鳴く前には」と話していましたが、斎藤選手は?

「そうですねー・・・・(ニヤリ)元々の目標はA契約だった。正直、今の自分の実力からして、今年のうちにそれは厳しいと思い始めたので、まずはデビューすること。埼スタで!デビューしたい」

――ユースの選手には、意外と遠いスタジアム

「そうですね、第2グラウンドとかではやってたけど、あのピッチの上ではプレーしていない。中学の時にあったトップの前座もケガで出られなくて、なかなか機会が無かったので、初めて埼スタでプレーしたい。埼スタデビューができるように頑張りたい!」

目に力を込める赤いダイヤの原石は、根っからの”レッズ者家庭”で育ちました

とはいえ、自身はそう簡単に赤く染まらず・・・

「僕が小さい頃、父親が駒場でのレッズ戦を観に連れていったらしいけど、その時も応援が凄すぎて、その音量で鳴いちゃったらしくて(苦笑)それでもっとサッカーが嫌いになったみたい(苦笑)それで野球の試合を観に行かせたら、松井稼頭央さんがサヨナラホームランを打って(笑)だからサッカーをさせるのが大変だったらしい」

――どうやってレッズ好きに?

「お父さんは仕事だったから、お母さんが浦和のサッカーに連れて行って、僕は泣きながら『やりたくない!』と言っていたみたいで・・・。お母さんも『もういいんじゃない?』みたいな感じだったけど、お父さんは『いや、だめだ、しっかりやらせろ!無理矢理でも良いから』みたいな(苦笑)幼稚園の頃はずっと続いていたみたい」

――西武のショートを守っていたのかもしれないと?

「ハハハッかも(笑)お父さんは自分がプロになると聞いたとき、喜んでくれた。昨年の8月2日ぐらいに自分と大槻さんとの面談で決まったけど、お母さんが夜、お父さんにそのことを電話で伝えたら、仕事帰りの川越線のホームで泣いていたらしい(笑)」

――ようやくというか、レッズを好きになったきっかけ、選手などは?

「長谷部さん。17番のユニホームを持っていて・・・いつだっけな?ドリブルで凄い抜いていって・・・・」

――2004年8月の磐田戦?

「そうっす!磐田戦!磐田戦のゴールは印象的。テレビで観ていたけど、凄かった本当に」

――いずれ、レッズの17番をつけるというのも・・・

「・・・(笑)長谷部さんも以前はドリブルが多かった。あれは凄い」

――あの躍動感を

「俺も元々、ドリブルを。結構ユースの時はドリブラーで・・フォワードもやっていたので。ドリブルで結構抜いていたので。今はボランチやってて、全く違うというか、やることがポジションによって違うので、今は縦パス、ロングパス、ショートパス。色んな種類のボールを蹴り分けて配球できればと思う」

――そして相手がパスを警戒したとき、「10年ぶりだぜ!」みたいなドリブル突破を炸裂させると

「はい(笑)」

――であれば、長谷部選手が代表のうちに、一緒にプレーすることを目標にしましょう!

「ちゃんと、【心を整える】を読んでるので(笑)」

昇格の際、”鳴り物入り”でなければ、”超○○級”という評価も聞こえてきませんでした

ただし、そこから這い上がるような選手に共通した、気概が感じられます

あくまでも、長年レッズを見てきたからこその、根拠なき直感ではありますが

これからのレッズに、また新たな楽しみが増えました

斎藤翔太,Be Ambitious!

インタビュー詳細は、今夜7時(再放送は23時)からの「You’re The REDS」でお届けします

では

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